マリアナ・マッカート氏のミッション・エコノミーという本を読んでみた。いくつか抜粋してみた。
①なぜ、ケネディはメリットの怪しいアポロ計画に賭けた?
人々を救う発明は無駄から生まれる。21世紀のすべては、アポロ計画の波及効果。
②新自由主義の間違い:「政府は企業のように運営されるべき」「民営化は税金の節約」は、思い込み
③政府こそ「学習する組織」に: イギリスはコロナ対策を外注(接触者追跡システムをコンサルティング会社に)→公務員は知識を積み上げる機会・組織が学習するチャンスも損なわれた。
④戦争やアポロ計画のように予算を: 財源確保・資金繰りが問題なのでなく、「そのミッションを実現するために必要なリソースをどう捻出するか」 重要なのは、お金を有効に活用する生産能力が経済にあるかどうかということ。
⑤政府の借金をめぐるウソ : 政府には主権通貨がある。人々がその国の通貨を持ちたがり、お金が生産的に投資されている限り、債務不履行におちいることなく、いくらでも借金を抱えることができる。 政府の赤字は国民の黒字ーMMT
⑥パイを拡大: アメリカの社会保障制度 退職者ひとりあたりの労働者数が1950年の16:1→現在では、約2:1 しかし、1950年の祖父母時代の労働者よりはるかに生産性が高ければ、問題ない。
経済に成長の余地があり、(人的・物的)能力をフル活用していない限りは、投資や支出で不景気にはならない。固定的な経済に資金を投入するだけの投資ではなく、戦略的な投資(忍耐強く、長期的で、ミッションに基づく投資)によって経済を拡大すれば、長期的なインフレを引き起こさない。既存のパイの中で分配を増やすのではなく、パイを拡大すればよい。
1970年代のインフレ 能力不足が原因ではない。石油ショック、金融引き締め、賃金スライドといった供給サイドの現象。
1921~3年のワイマール共和国のインフレ 供給サイドの問題。(軍隊が占領>ドイツの生産が止まった)
これらは、普通の状況でない。普通なら、政府が非政府部門の雇用と生産水準を高く維持するために資金を提供。
戦略的公共投資>長期的な成長分野にお金>生産性向上>生産能力が拡大>インフレ起きない。 市民の健康の維持>生産能力向上
※例えば、以前は今より学校で理科振興法(国の産業・技術振興のための法律だと思われる)で国庫による購入できたように思う。このところ、節約志向が広まり、なかなか予算がつきにくくなっているということはないだろうか。
⑦事前分配:ミッションには莫大な投資必要・リスク>政府が多くの人々と投資の利益を共有しようとするのは合理的 イノベーションは不確実 投資のリターンは保証されない →リターンの分配を政府が決めることは、市場を創造し形成する役割を負う者の正当な権利。納税者が分配を享受するのは当然のこと。
やり方はさまざま、政府が公的ファンドをつくり、配当を市民に分配。政府も株をもつ。収益を将来の技術革新に使う。